【エアコンのフィルター掃除】電気代はどれくらい変わる?頻度・正しい方法・注意点を徹底解説
はじめに|エアコンのフィルター掃除で電気代は変わる?
毎日エアコンをつけているのに、以前より冷えにくくなったと感じることはありませんか。
設定温度を下げても風が弱い、部屋が涼しくなるまで時間がかかる、電気代が高くなったように感じるという方もいるでしょう。
こうした症状があると、すぐにエアコン本体の故障や買い替えを考えてしまいがちです。
しかし、原因の一つとして確認したいのが、フィルターにたまったホコリです。
エアコンは、室内の空気を吸い込み、内部で冷やしてから再び部屋へ戻しています。
その空気の入口にあるフィルターがホコリで目詰まりすると、エアコンは空気を十分に吸い込みにくくなります。
その結果、風量が落ちたり、部屋が冷えるまでに時間がかかったりする可能性があります。
フィルターを定期的に掃除することは、冷房効率や快適性を保つための基本的なお手入れです。
資源エネルギー庁では、フィルターが目詰まりしたエアコンと、月に1回から2回フィルターを清掃した場合を比較し、年間で電気31.95kWh、電気代にして約990円の省エネになるという試算を紹介しています。
ただし、これは一定の条件で計算された目安です。
使用している機種、運転時間、フィルターの汚れ方、部屋の広さ、住宅の断熱性、電気料金などによって、実際の節電額は変わります。
私は柔道整復師として、高齢者や子どもが暑い室内で過ごすことの危険性を日頃から意識しています。
フィルターが目詰まりしてエアコンの効きが悪くなると、リモコンでは低い温度に設定していても、実際の室温が十分に下がらないことがあります。
特に高齢者は暑さや喉の渇きを感じにくい場合があり、子どもは体温調節機能が発達の途中です。
エアコンを使っているから大丈夫と考えず、実際の室温や湿度も確認することが大切です。
また、暮らしサポートの現場では、高い位置にあるエアコンを掃除するため、不安定な椅子や家具へ乗ろうとする場面も見かけます。
フィルター掃除は自宅でできるお手入れですが、高所作業や電気製品の扱いを伴います。
無理な姿勢で作業したり、エアコン内部まで分解したりすることは避けなければなりません。
この記事では、資源エネルギー庁、NITE、空調メーカーなどの公式情報をもとに、フィルター掃除による省エネ効果、正しい頻度、安全な掃除方法を解説します。
自動お掃除機能と内部クリーンの違い、市販の洗浄スプレーを安易に使用する危険性、自分でできる範囲と業者へ相談する目安についても詳しく紹介します。
第1章|フィルターが汚れると起こる3つの問題
ホコリが空気の通り道をふさいでしまう
エアコンは、室内機の吸い込み口から部屋の空気を取り込みます。
取り込んだ空気を内部の熱交換器で冷やし、吹き出し口から再び室内へ送り出すことで部屋を涼しくしています。
フィルターは、エアコンが空気を吸い込むときに、ホコリや髪の毛、細かなゴミなどが内部へ入りにくくする役割を持っています。
エアコンを使用する時間が長くなるほど、フィルターには少しずつ汚れがたまります。
薄いホコリであれば空気は通りますが、汚れが重なるとフィルターの網目がふさがっていきます。
窓を開けることが多い部屋や、人の出入りが多い部屋では、屋外から入ったホコリや衣類から出た繊維も付着します。
ペットがいる家庭では、抜け毛や細かなフケなどを吸い込みやすくなります。
キッチンに近いエアコンでは、料理中に発生した油分がホコリと混ざり、べたついた汚れになることもあります。
フィルターが目詰まりすると、エアコンは本来必要な量の空気を吸い込みにくくなります。
ストローの入口を指でふさいだ状態を想像すると、分かりやすいかもしれません。
通り道が狭くなれば、同じように空気を動かそうとしても効率が下がります。
風量が低下して部屋が冷えにくくなる
エアコンが十分な空気を吸い込めなければ、吹き出し口から出る風の量も低下する可能性があります。
冷たい風は出ていても、その量が少なければ部屋全体へ届きにくくなります。
エアコンの近くは涼しいのに、部屋の奥は暑いままという温度ムラが生じることもあります。
部屋が設定温度に近づくまでの時間が長くなれば、エアコンが強い運転を続ける時間も長くなる可能性があります。
その結果、消費電力が増えたり、設定温度を必要以上に下げてしまったりすることがあります。
フィルター掃除をして空気の通り道が改善すれば、風量や冷房効率が本来の状態へ近づくことが期待できます。
ただし、掃除をしても風が弱い場合は、フィルター以外の汚れ、室内ファンの異常、冷媒の問題、機器の故障なども考えられます。
フィルター掃除だけで、すべての冷房不良が改善するわけではありません。
においや内部汚れにつながることがある
フィルターにたまったホコリは、空気中の湿気や油分を含むことがあります。
汚れを長期間放置すると、エアコンから出る風にホコリっぽいにおいや、こもったにおいを感じることがあります。
ただし、エアコンの強いカビ臭や酸っぱいようなにおいは、フィルターだけでなく、熱交換器、送風ファン、ドレンパンなど内部の汚れが原因になっている可能性もあります。
フィルターを洗ってもにおいが消えない場合は、見えない内部に汚れやカビが付着していることが考えられます。
その場合は、洗浄スプレーを大量に吹き付けたり、自分で内部を分解したりせず、メーカーや専門業者へ相談しましょう。
フィルター掃除は、内部へ入り込むホコリを減らすためにも重要です。
しかし、すでに内部へ付着したカビや汚れを、フィルター掃除だけで取り除くことはできません。

第2章|掃除による電気代の変化と冷房効率
資源エネルギー庁が示す省エネ効果
フィルター掃除をすると、電気代がどれくらい変わるのか気になる方も多いでしょう。
資源エネルギー庁は、フィルターが目詰まりした2.2kWのエアコンと、フィルターを清掃した場合の比較を掲載しています。
月に1回から2回フィルターを清掃した場合、年間で電気31.95kWh、原油換算8.05L、二酸化炭素15.6kgを削減し、約990円の節約になるという試算です。
また、資源エネルギー庁の別の節電資料では、目詰まりしたフィルターを清掃することで、エアコンの効率が上がり、0.6%から1.9%の節電につながるという目安も示されています。
この二つの数値は、調査や試算の条件が同じとは限りません。
そのため、「フィルター掃除をすれば必ず〇%安くなる」「どの家庭でも年間990円安くなる」と考えないことが大切です。
公式資料の数値は、フィルター掃除が省エネにつながる可能性を示す参考値として捉えましょう。
家庭によって節電効果は異なる
実際の節電効果は、使用環境によって大きく変わります。
ほとんど汚れていないフィルターを掃除しても、消費電力に大きな変化は出にくいでしょう。
反対に、フィルター全体がホコリでふさがり、風量が大幅に落ちている場合は、掃除後に冷え方の違いを感じる可能性があります。
エアコンの使用時間が長い家庭ほど、効率改善による影響は大きくなりやすいと考えられます。
しかし、電気代は外気温、設定温度、部屋の広さ、日当たり、断熱性、家族の人数などにも左右されます。
フィルターを掃除した翌月の電気代が下がったとしても、掃除だけが理由とは限りません。
天候が涼しくなった、在宅時間が減った、設定温度を変えたなど、ほかの要因も考える必要があります。
電気代以外のメリットも大きい
フィルター掃除のメリットは、電気代だけではありません
空気の通り道が確保されれば、風量が回復し、部屋全体へ冷気が届きやすくなる可能性があります。
部屋が早く涼しくなれば、暑さを我慢する時間も短くなります。
風量が改善することで、設定温度を必要以上に下げずに済む場合もあります。
高齢者や子どもがいる家庭では、エアコンの効きが安定すること自体が大きなメリットです。
リモコンで冷房を入れていても、フィルターが目詰まりして室温が下がっていなければ、熱中症対策として十分ではありません。
フィルター掃除後は、温湿度計を使い、実際に室温が下がっているかも確認しましょう。

掃除前後を自宅で比較する方法
フィルター掃除の効果を確認したい場合は、感覚だけでなく簡単な記録を取る方法があります。
掃除前に、外気温が似ている日の運転開始時刻、設定温度、風量、室温、湿度を記録します。
エアコンを運転してから、室温が何度まで下がるのに何分かかったかを確認します。
フィルター掃除後も、できるだけ似た条件で同じ項目を記録します。
電力会社のアプリやスマートメーターで時間帯別の使用量を確認できる場合は、消費電力量も比較できます。
ただし、日差し、風、家族の在室人数、調理の有無などで結果は変わります。
一度の比較だけで結論を出さず、数回の傾向を見ることが大切です。
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第3章|フィルター掃除の正しい頻度とタイミング
一般的な目安は2週間に1回から月1〜2回
掃除頻度は、メーカーや機種、使用環境によって異なります。
ダイキンは、フィルター自動お掃除機能がない機種について、2週間に1回程度のフィルター掃除を案内しています。
資源エネルギー庁は、省エネ方法として月に1回から2回のフィルター清掃を紹介しています。
このため、夏や冬に毎日長時間エアコンを使用する場合は、2週間に1回程度フィルターの状態を確認するのが一つの目安です。
ただし、実際に掃除が必要かどうかは、フィルターを見て判断してください。
ホコリがほとんど付いていない場合と、網目が見えないほど汚れている場合では、必要な頻度が異なります。
最も確実なのは、使用しているエアコンの取扱説明書に記載された方法と頻度を確認することです。
使用頻度が高い時期は早めに確認する
猛暑日が続き、朝から夜まで冷房を使用している時期は、吸い込む空気の量も多くなります。
その分、フィルターへホコリが付着する速度も早くなる可能性があります。
夏の初めに一度掃除したからと安心せず、使用期間中も定期的に確認しましょう。
暖房を長時間使う冬も同様です。
冷房シーズンと暖房シーズンの開始前だけでなく、使用中のお手入れも必要です。
ペットがいる家庭
犬や猫などのペットがいる家庭では、抜け毛や細かな汚れをエアコンが吸い込みやすくなります。
換毛期は特に毛が増えるため、一般的な目安より早くフィルターが汚れる場合があります。
床や家具の掃除と合わせて、フィルターもこまめに確認しましょう。
ただし、フィルターに毛が見えるたびに無理に取り外す必要はありません。
機種の取り扱い方法に従い、安全に外せる範囲で掃除してください。
キッチンに近いエアコン
リビングとキッチンがつながっている住宅では、調理時の油分を含んだ空気をエアコンが吸い込むことがあります。
油分とホコリが混ざると、掃除機だけでは落ちにくいべたついた汚れになります。
汚れを長く放置すると、フィルターの目詰まりが強くなり、水洗いにも時間がかかります。
換気扇を使用し、調理中の油分が室内へ広がりにくくすることも大切です。
フィルターがべたつく場合は、取扱説明書を確認し、使用可能であれば薄めた中性洗剤で優しく洗います。
寝室や高齢者が過ごす部屋
寝室では、寝具や衣類から出る細かな繊維やホコリを吸い込みます。
フィルターの汚れによって冷房効率が下がると、夜間に室温が十分下がらない可能性があります。
特に熱帯夜は、エアコンが運転しているだけで安心せず、枕元の室温と湿度を確認してください。
高齢者が長時間過ごす部屋も同様です。
高齢者は暑さを感じにくい場合があるため、エアコンの風が出ているかだけでなく、実際に室温が下がっているかを確認しましょう。

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第4章|自分でできる正しいフィルター掃除の手順
最初に取扱説明書を確認する
エアコンは、メーカーや機種によってフィルターの外し方やお手入れ方法が異なります。
前面パネルの開き方、フィルターを引き出す方向、使用できる洗剤、乾燥方法などを、必ず取扱説明書で確認してください。
自動お掃除機能付きの機種では、通常のフィルターとは取り外し方が異なる場合があります。
無理に引っ張ると、フィルターや掃除機構を破損するおそれがあります。
説明書が見つからない場合は、メーカー名と型番を確認し、公式サイトから検索できることがあります。
運転を停止して安全を確保する
掃除を始める前に、リモコンでエアコンの運転を停止します。
機種によっては、電源プラグを抜くよう案内されている場合があります。
パナソニックも、フィルターを取り外す際は電源をオフにし、電源プラグを抜く必要があるかを取扱説明書で確認するよう案内しています。
電源を切った直後も内部の部品が動いている場合があるため、取扱説明書に待機時間の記載があれば従ってください。
濡れた手で電源プラグやコンセントへ触れないようにします。
脚立や踏み台を安定させる
エアコンは高い位置にあるため、脚立や踏み台を使うことがあります。
回転する椅子、折りたたみ式ではない家具、ベッドの端、キャスター付きの台など、不安定な物へ乗ってはいけません。
脚立は平らで滑りにくい床へ置き、脚が完全に開いて固定されているか確認します。
身体を大きく横へ伸ばすと、重心が脚立の外へ移動して転倒しやすくなります。
エアコンへ手が届かない場合は、無理に背伸びをせず、より高さの合う脚立を用意するか、家族や専門業者へ依頼してください。
高齢者、めまいがある方、足腰に不安がある方は、自分で高所作業をしないことが大切です。
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周囲のホコリを落とさない準備をする
フィルターを外すときに、たまったホコリが床や寝具へ落ちることがあります。
エアコンの下に新聞紙や大きなシートを敷いておくと、後片付けがしやすくなります。
寝室では、布団や枕を移動させるか、清潔なカバーをかけてください。
フィルターのホコリが多い場合は、取り外す前に見える範囲を掃除機で軽く吸う方法もあります。
ただし、エアコン内部へ掃除機のノズルを無理に差し込まないでください。
フィルターをゆっくり取り外す
前面パネルを開き、取扱説明書に従ってフィルターを外します。
フィルターは薄い樹脂でできていることが多く、強く曲げると破損する可能性があります。
左右に引っかかっている場合は、無理に引っ張らず、固定部分を確認します。
取り外したフィルターは、ホコリの付いた面が分かるように置きましょう。
表側から掃除機でホコリを吸う
フィルターへ付着したホコリは、最初に掃除機で吸い取ります。
パナソニックは、まずフィルターの表面からホコリを吸い、その後に裏面を掃除する方法を案内しています。
ホコリが付いた表側から吸うことで、汚れを網目の奥へ押し込みにくくなります。
掃除機の吸引力を必要以上に強くせず、フィルターを片手で支えながら優しく動かしてください。
ブラシ付きノズルを使う場合も、網目を傷つけないよう強く押し付けないことが大切です。
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汚れが強い場合は水洗いする
掃除機だけでは汚れが落ちない場合は、取扱説明書で水洗いできることを確認してから洗います。
水やぬるま湯を使用し、ホコリが付いた側と反対側から水を流すと、網目に詰まった汚れを押し戻しやすくなります。
硬いブラシでこすらず、柔らかい布やスポンジで優しく洗います。
油分を含んだ汚れがある場合は、メーカーが認めていれば、薄めた中性洗剤を使用します。
パナソニックとダイキンも、汚れが強い場合は薄めた中性洗剤で優しく洗い、十分にすすぐ方法を案内しています。
洗剤が残ると、においや変色の原因になる場合があります。
泡がなくなるまで十分にすすいでください。
日陰で完全に乾燥させる
水洗い後は、清潔なタオルで挟むようにして水分を取ります。
強く振ったり、ねじったりすると、フィルターが変形する可能性があります。
水分を取ったら、直射日光を避け、風通しのよい日陰で乾燥させます。
ダイキンとパナソニックも、洗浄後は日陰で十分に乾燥させてから取り付けるよう案内しています。
早く乾かそうとして、ドライヤーの熱風、暖房器具、熱湯などを使用してはいけません。
熱によってフィルターの枠や網目が変形するおそれがあります。
完全に乾いていることを確認してから、元の位置へ戻してください。
取り付け後に試運転する
フィルターを正しい向きで取り付け、前面パネルを閉じます。
電源プラグを抜いていた場合は、周囲や手が乾いていることを確認してから差し込みます。
冷房または送風で試運転し、フィルターがずれていないか、異音がしないか、風が正常に出ているかを確認します。
異音、焦げたにおい、水漏れなどがある場合は、すぐに運転を停止してください。

第5章|絶対に避けたい間違った掃除方法
電源を入れたまま作業しない
運転中に前面パネルを開けたり、フィルターを外したりしてはいけません。
内部では送風ファンなどが動いているため、指や掃除道具が触れるとケガにつながるおそれがあります。
また、電気部品の近くで作業するため、感電や故障を防ぐ意味でも、運転を停止して取扱説明書に従うことが重要です。
濡れたフィルターを戻さない
水洗いしたフィルターを、生乾きの状態でエアコンへ戻すことは避けてください。
残った水分が内部へ入れば、におい、カビ、故障などの原因になる可能性があります。
見た目では乾いているように見えても、枠の溝や網目に水が残っていることがあります。
急いでいる場合も、十分に乾燥するまで取り付けないでください。
フィルターを外したままエアコンを運転することも避けましょう。
ホコリが内部へ直接入り込みやすくなります。
熱湯や強い熱を使わない
熱湯をかければ油汚れが落ちやすいと考える方もいるかもしれません。
しかし、フィルターは熱に弱い樹脂で作られている場合があり、変形や縮みの原因になります。
ドライヤー、ストーブ、浴室乾燥機の吹き出し口などへ近づけることも避けてください。
変形したフィルターは正しく取り付けられず、隙間からホコリが内部へ入り込む可能性があります。
硬いブラシで強くこすらない
フィルターの網目は非常に細かく作られています。
硬いブラシ、たわし、研磨剤入りスポンジなどで強くこすると、網目が破れたり、枠が曲がったりすることがあります。
破損したフィルターは修理できないことが多く、交換が必要になります。
落ちにくい汚れは、薄めた中性洗剤へつけ置きし、柔らかいスポンジなどで優しく洗いましょう。
強力な洗剤を安易に使わない
カビ取り剤、漂白剤、アルカリ性洗剤、酸性洗剤、アルコール、ベンジンなどは、素材を傷める可能性があります。
メーカーが使用を認めていない洗剤は使わないでください。
取扱説明書に中性洗剤の使用方法が記載されている場合も、指定された濃度や方法を守ります。
複数の洗剤を混ぜることは、危険なガスが発生するおそれがあるため絶対に避けてください。
市販の洗浄スプレーを内部へ安易に吹き付けない
市販のエアコン洗浄スプレーを使い、自分で熱交換器や内部を洗浄しようと考える方もいるでしょう。
しかし、エアコン内部には、電源基板、配線、モーターなどの電気部品があります。
洗浄液が電気部品へ付着すると、ショートやトラッキング現象が起こり、発煙や発火につながるおそれがあります。
トラッキング現象とは、ホコリや水分などによって電気の通り道ができ、異常な発熱が起こる現象です。
NITEは、使用者がエアコン洗浄スプレーで内部洗浄した際、洗浄液が電気部品へ付着し、トラッキング現象によって発火した事故を紹介しています。
NITEによると、誤った内部洗浄方法による火災事故は、2019年度までの5年間に20件発生していました。
ダイキンも、洗浄スプレー、除菌スプレー、消臭スプレー、殺虫スプレーなどをエアコン内部へ吹き付けないよう案内しています。
市販されている商品だから、どのエアコンにも安全に使えるとは限りません。
内部洗浄が必要な場合は、購入店、メーカー、専門知識を持つクリーニング業者へ相談してください。
奥まで指や道具を入れない
吹き出し口から黒い汚れが見えると、綿棒、ブラシ、細い棒などで奥まで掃除したくなるかもしれません。
しかし、内部には高速で回転する送風ファンや、薄く鋭い熱交換器の部品があります。
手を切ったり、部品を曲げたりするおそれがあります。
電源を切っていても、安全に分解できるとは限りません。
外から簡単に拭ける範囲を超える場合は、専門業者へ任せましょう。

第6章|自動お掃除機能があれば掃除は不要?
自動お掃除機能は主にフィルターのホコリを取る
近年のエアコンには、フィルター自動お掃除機能を搭載した機種があります。
この機能は、ブラシなどを使ってフィルターに付着したホコリを取り除くものです。
パナソニックも、フィルターお掃除ロボットは、ブラシでフィルターのホコリをかき取る仕組みだと説明しています。
ただし、自動お掃除機能があれば、エアコン全体が完全に掃除されるわけではありません。
フィルターを通過した細かな汚れ、油分、カビなどを、すべて取り除ける機能ではありません。
ダストボックスの手入れが必要な機種がある
自動で取り除かれたホコリの処理方法は、機種によって異なります。
屋外へ自動排出する機種もあれば、室内機のダストボックスへためる機種もあります。
ダストボックス式では、たまったホコリを定期的に捨てる必要があります。
ダストボックスが満杯になれば、掃除機能が正常に働きにくくなる可能性があります。
パナソニックも、自動お掃除機能で集めたホコリを捨てるお手入れが必要な方式を案内しています。
必要なお手入れの時期は、機種や使用環境によって異なります。
本体のお知らせランプや取扱説明書を確認してください。
自動お掃除機能付きでもフィルター確認は必要
自動お掃除機能が正常に動いていても、油分を含んだ汚れや細かなホコリが残る場合があります。
ペットがいる家庭やキッチンに近い部屋では、汚れ方も異なります。
定期的にフィルターの状態を目で確認し、必要であれば取扱説明書に従って手入れしてください。
自動お掃除ユニットが付いたフィルターは、通常のフィルターより取り外し方が複雑な場合があります。
無理に外すと故障につながるため、分からない場合はメーカーへ確認しましょう。
内部クリーン機能とは別物
フィルター自動お掃除機能と、内部クリーン機能は同じではありません。
フィルター自動お掃除機能は、フィルターに付いたホコリを取り除く機能です。
内部クリーン機能は、冷房や除湿運転後に送風や加熱などを行い、エアコン内部を乾燥させてカビの発生を抑える目的の機能です。
内部クリーンを使用しても、フィルターのホコリが自動で取れるとは限りません。
また、内部クリーンは、すでに発生した大量のカビを完全に取り除く機能ではありません。
パナソニックも、内部クリーンはカビが増えにくい環境を作る機能であり、すでに生えたカビを除去する機能ではないと説明しています。
自宅のエアコンにどの機能が搭載されているか、取扱説明書で確認しましょう。
第7章|自分でできる範囲と業者へ頼む目安
自分で手入れする基本範囲
家庭で比較的安全に掃除できる基本範囲は、取扱説明書に従って取り外せるフィルターです。
機種によっては、前面パネル、ダストボックス、空気清浄フィルターなども手入れできます。
本体の外側は、電源を切った状態で、柔らかい布を使って拭きます。
汚れが強い場合も、メーカーが認めている方法を確認してください。
吹き出し口のルーバーは、外から手が届く範囲を優しく拭く程度にします。
無理に動かしたり、奥へ手を入れたりしてはいけません。
奥に黒いカビが見える場合
吹き出し口の奥や送風ファンに、黒い点や固まりが多数見える場合は、内部にカビや汚れが付着している可能性があります。
フィルターを掃除しても、内部のカビは取り除けません。
自分で分解したり、市販スプレーを大量に使用したりせず、専門業者へ相談してください。
クリーニングを依頼するときは、料金だけでなく、損害保険への加入、作業範囲、追加料金、故障時の対応なども確認しましょう。
自動お掃除機能付きの機種は、通常機種より分解や組み立てが複雑なため、対応できる業者か事前に確認することも大切です。
においが取れない場合
フィルターを掃除しても、カビ臭、酸っぱいにおい、焦げたにおいなどが続く場合は、内部の汚れや機器の異常が考えられます。
カビ臭や酸っぱいにおいは、熱交換器、ファン、ドレンパンなどの汚れが原因になっている場合があります。
焦げたにおいがする場合は、すぐに運転を停止し、電源プラグを抜ける状況であれば安全を確認して抜き、メーカーや販売店へ連絡してください。
異常なにおいがある状態で、運転を続けないことが重要です。
水漏れがある場合
室内機から水が落ちる場合は、ドレンホースの詰まり、傾き、内部の汚れ、結露、部品の故障など複数の原因が考えられます。
フィルターの極端な目詰まりが影響する場合もありますが、掃除だけで改善するとは限りません。
水が電源部分やコンセントへ近づいている場合は、使用を中止してください。
床や家具への被害を防ぎながら、メーカーや専門業者へ点検を依頼しましょう。
異音がある場合
運転中にカラカラ、ガラガラ、金属がこすれるような音がする場合は、フィルターの取り付け不良、ルーバーの異常、ファンの汚れや故障などが考えられます。
掃除後に異音が出た場合は、フィルターやパネルが正しく装着されているか確認してください。
正しく取り付けても異音が続く場合や、音が強くなる場合は、運転を停止して相談しましょう。
高所作業に不安がある場合
フィルターだけの掃除であっても、エアコンへ安全に手が届かなければ、自分で行う範囲ではありません。
高齢者、足腰に不安がある方、めまいやふらつきがある方、一人で作業することに不安がある方は、家族や専門業者へ依頼してください。
掃除代を節約するために転倒し、骨折や頭部外傷を負ってしまっては本末転倒です。
暮らしサポートの立場からも、できるかどうかではなく、安全にできるかどうかを基準に判断することをおすすめします。

第8章|掃除してもエアコンが冷えない場合の確認ポイント
運転モードを確認する
フィルターを掃除しても冷えない場合は、リモコンの運転モードを確認します。
送風運転では、室内の空気を動かすだけで温度を下げることはできません。
除湿運転も、機種や方式によって冷房能力が異なります。
室温そのものが高い場合は、まず冷房運転を選びます。
設定温度が現在の室温より高くなっていないか、風量が弱に固定されていないかも確認してください。
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窓やドアから熱が入っていないか確認する
窓やドアが開いていると、冷やした空気が外へ逃げ、暑い空気が室内へ入ります。
家族が頻繁に出入りする部屋では、ドアを開けたままにしないよう注意します。
西日が強く入る窓や大きな窓は、室温上昇の大きな原因になります。
遮光カーテン、すだれ、外付けの日よけなどで日差しを抑えると、エアコンの負担を減らせる可能性があります。
室内側のカーテンも役立ちますが、窓の外側で日射を遮る方が、熱が室内へ入る前に抑えやすくなります。
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室外機の周辺を確認する
エアコンは、室内の熱を室外機から屋外へ放出しています。
室外機の吹き出し口や吸い込み口が荷物、植木鉢、物置、雑草などでふさがれると、熱を逃がしにくくなります。
吹き出した熱風が壁や障害物へ当たり、再び室外機へ吸い込まれる状態も避ける必要があります。
室外機の周囲を整理し、風の通り道を確保してください。
ただし、室外機の内部へ水をかけたり、分解して掃除したりしてはいけません。
室外機が不安定な場所にある場合や、高所に設置されている場合は、自分で作業せず専門業者へ相談しましょう。
室外機の日よけは通気を妨げない
室外機へ強い直射日光が当たる場合は、日よけを検討することがあります。
その際は、室外機を箱で囲ったり、吹き出し口をふさいだりしないでください。
日よけと室外機の間に十分な空間を確保し、熱風がこもらないようにします。
メーカーが専用の日よけ部品を用意している場合は、対応機種を確認して使用しましょう。
部屋の広さと能力が合っているか確認する
エアコンの能力が部屋の広さや住宅条件に合っていない場合、フィルターを掃除しても十分に冷えないことがあります。
畳数表示は一つの目安ですが、最上階、西日が強い部屋、大きな窓がある部屋、吹き抜けがある部屋などでは、冷房負荷が大きくなります。
ドアを開けて複数の部屋を一台で冷やしている場合も、能力が不足する可能性があります。
以前は冷えていたのに急に冷えなくなった場合は、能力不足だけでなく、故障や冷媒漏れも考えられます。
サーキュレーターで温度ムラを減らす
エアコンの近くは涼しいのに、部屋の奥が暑い場合は、冷気が十分に循環していない可能性があります。
サーキュレーターを使い、部屋の空気をゆっくり循環させると、温度ムラを減らせる場合があります。
冷房時は、床付近にたまった冷気を部屋全体へ動かすことを意識します。
ただし、サーキュレーターには部屋の温度を下げる機能はありません。
エアコンが冷たい空気を作れていない場合は、サーキュレーターを追加しても根本的な解決にはなりません。
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冷たい風が出ているか確認する
運転開始からしばらく経っても、吹き出し口から冷たい風が出ない場合は、機器の異常が考えられます。
冷媒ガスの漏れ、コンプレッサーの不具合、温度センサーの異常、基板の故障などは、自宅で修理できません。
室外機が動いていない、エラーコードが表示される、ブレーカーが繰り返し落ちる場合も、使用を続けず相談してください。
フィルター掃除、設定、窓、室外機周辺を確認しても改善しない場合は、購入店やメーカーへ点検を依頼しましょう。

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まとめ|安全な手入れで冷房効率と快適性を保とう
エアコンのフィルターは、室内から吸い込んだホコリやゴミが内部へ入りにくくする大切な部品です。
フィルターが目詰まりすると、空気を吸い込みにくくなり、風量が低下したり、部屋が冷えるまで時間がかかったりする可能性があります。
資源エネルギー庁は、フィルターが目詰まりしたエアコンと月1回から2回清掃した場合を比較し、年間約31.95kWh、約990円の省エネになるという試算を紹介しています。
別の資料では、目詰まりしたフィルターの清掃によって、0.6%から1.9%の節電につながるという目安も示されています。
ただし、実際の節電効果は、機種、使用時間、汚れ方、外気温、部屋の広さ、住宅の断熱性などによって変わります。
掃除すれば必ず同じ金額だけ安くなるわけではありません。
フィルター掃除の大きな目的は、電気代だけでなく、空気の通り道を整え、エアコン本来の風量と冷房効率を保つことです。
掃除頻度は、取扱説明書を優先したうえで、頻繁に使う時期は2週間に1回程度、または月に1回から2回確認することが目安になります。
ペットがいる家庭、キッチンに近い部屋、ホコリが多い環境では、一般的な目安より早く汚れることがあります。
掃除をするときは、運転を停止し、取扱説明書に従ってフィルターを取り外します。
表側から掃除機でホコリを吸い、汚れが強い場合は水や薄めた中性洗剤で優しく洗います。
洗浄後は、直射日光や熱風を避け、風通しのよい日陰で完全に乾燥させてください。
高い位置で作業する場合は、不安定な椅子や家具へ乗らず、安定した脚立を使用します。
足腰やバランスに不安がある方は、自分で作業しないことも重要な安全対策です。
市販の洗浄スプレーをエアコン内部へ安易に吹き付けることは避けてください。
NITEは、洗浄液が電気部品へ付着し、トラッキング現象によって発火した事故を紹介しています。
内部洗浄は専門知識が必要なため、メーカーや専門業者へ相談するのが安全です。
自動お掃除機能付きのエアコンも、完全に手入れが不要になるわけではありません。
ダストボックスのゴミ捨てや、フィルターの状態確認が必要な機種があります。
内部クリーンは、フィルターのホコリを取る機能ではなく、運転後に内部を乾燥させ、カビが増えにくい環境を作るための機能です。
吹き出し口の奥に大量のカビが見える、強いにおいが消えない、水漏れや異音がある、掃除後も冷えない場合は、無理に分解せず専門家へ相談しましょう。
高齢者や子どもがいる家庭では、エアコンが動いていることだけで安心せず、実際の室温と湿度を確認してください。
フィルターの目詰まりを放置せず、安全な範囲で定期的に手入れを行うことは、快適性を保ち、暑い室内での熱中症リスクを減らすためにも役立ちます。
無理のない安全な掃除を続け、エアコンが本来の能力を発揮できる環境を整えて、暑い夏を快適に乗り切りましょう。
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